2025年4月初旬、ついにテントを背負い、『ゆるキャン△』で何度も胸を躍らせたあの場所――本栖湖のほとりにある浩庵キャンプ場へと向かった。
出発の日、すべてが順調に運ぶはずだった。名古屋でチェックアウトし、地下鉄に乗り、時間通りに新幹線のホームに到着。わざわざ左側の窓際席を選び、静岡区間で富士山の全景を存分に楽しもうと考えていた。しかし、旅は計画表に少しだけ胡椒を振りたがるものだ――新幹線が発車して間もなく、私はふと雰囲気がおかしいことに気づいた。私の席には別の乗客が座っている……車掌と何度も確認した後、車掌から悪い知らせを聞かされた。私は乗るべきではない列車に乗ってしまったのだ。この列車は横浜行きだった。
頭の中が疑問符でいっぱいになりながら横浜駅で降り、新富士駅まで新幹線を乗り継いで戻らざるを得なかった。この小さなハプニングは、12時05分発の本栖湖行きバスに乗り損ねる結果を招き、私の行程をまる2時間遅らせた。当初の計画だった「颯爽と歩く」は「禅のように静かに」に変わり果てたが、この「迷走」の旅によって、新富士駅で落ち着いて牛タンの定食を食べる時間ができ、早起きの疲れを一食で取り戻すことができた。
午後のバスの中、窓の外にはどんどん近づく山と野原が広がり、空気もますます清々しくなっていった。「浩庵」という言葉を画面の前で何度唱えたことか。今回はついに荷物を手に湖岸へと歩いていく。キャンプ場に到着したときには、すでに日が少し西に傾きかけていた。テントが一軒一軒、湖岸に点在している。遠くないところに、アニメで見たあの湖、あの山――富士山の雪化粧した頂上が本栖湖の水面に静かに映っていた。
テントを設営した後、キャンプ場をゆっくり散策し、アニメの撮影に使われたアングルを見つけ、さらには劇中の主人公たちと一緒に写真が撮れる小さな置物さえもあった。夕陽に染まる富士山は、まさにアニメのように優しかった。その瞬間、現実は二次元よりも広大で心動かされるものだとさえ思えた。
夕食はシンプルな野炊きのカップ麴だったが、この風景の前ではカップ麴にも儀式感が漂っていた。夜の帳が降りると、テントの内と外には温かな光が透けていた。夜の湖面はとても静かで、時折遠くで釣り人たちの笑い声が聞こえてきた。
夜明け前、空がほのかに明るくなり始めた頃、私は早起きして本栖湖の日の出を見た。富士山の輪郭が湖面に金色の縁取りを映し出し、湖面はとても静かで、まるで世界全体がまだ目覚めていないかのようだった。多くの写真を撮り、この静寂を都会に持ち帰りたいと思った。
その後、来た道を戻って本栖湖を離れ、新富士駅であの懐かしい小さな食堂の前を通りかかったとき、私はもはや毎日慌ただしく移動する旅人ではなく、キャンプ生活の自由と寛ぎを本当に体験した人間になったような気がした。ただ、次に来るときは、必ず新幹線の行先表示を確認しよう。
もしあなたが私と同じ『ゆるキャン△』のファンなら、あるいはただ富士山のふもとで邪魔されない一夜を過ごしたいなら、浩庵キャンプ場を試してみることをお勧めする。自分自身に少し余分な時間を与えてほしい。おそらく、道に迷うことや乗り遅れることが、旅の中で最も貴重な思い出になるのだから。
